H2〜君といた日々 あらすじ


1話『2人のヒーロー』
私立千川高校に入学した比呂(山田孝之)と野田(中尾明慶)は、二年連続中学関東大会で優勝した黄金バッテリー。しかし比呂は医者から「ガラスの肘」と、野田は腰が悪いと診断され野球を断念、二人はあえて野球部のない千川高校を選んだ。そして、比呂はサッカー部、野田は新聞部へ入部した。
春華(石原さとみ)は子供のころから野球好きの一家に育ち、大の野球好き。頼まれもしないのに野球愛好会に押しかけてマネージャーをしている。ある日、比呂は野球ボールを抱えた春華と出会い千川高校に「野球愛好会」があることを知る。
一方、比呂のライバルで親友の英雄(田中幸太朗)は私立明和第一高校に進み、1年生にして4番を任されていた。比呂の幼なじみで英雄のガールフレンド、ひかり(市川由衣)も明和一高で英雄の活躍を応援している。
さて、春華が相変わらずドジを繰り返しながら野球愛好会の練習場所である裏庭にやってくると、みんなの様子がどうも暗い。楽しみにしていた翌日の試合の予定が急遽キャンセルになったのだった。それを知ったサッカー部の木根(石垣佑磨)は、春華にサッカー部が相手になると提案する。ところがこれは、春華を何としてもサッカー部のマネージャーにしたい木根の策略だった。しかし春華はその条件をのむ。実は中止になった試合は愛好会の3年生の引退試合だったからだ。
試合当日、比呂はサッカー部のメンバーとして久しぶりに野球をする。ピッチャー・木根の球を軽々捕球し、周囲をびっくりさせるが、何故か返球はヘロヘロ。肘を気にしてのことだ。試合はサッカー部優勢で進み、点差は開くばかり。あげく木根は真面目に野球をしようとしない。わざとファーボールを連発したり、のらりくらり1塁に走ったりと、完全に野球愛好会を小馬鹿にしていた。
比呂はそんな木根の様子を見るにつけ、イライラをつのらせていく。新聞部員として取材していた野田の胸中も同様だ。ヘロヘロだった比呂の返球が、怒りのために剛速球へと変わっていく。そしてついに比呂の我慢も限界に達した。「1年国見、只今をもってサッカー部を退部します!」、こう宣言すると、その場で野球愛好会に入る。相棒の野田もそれに続いた。
そしていきなり代打で木根との対決だ。その様子をたまたま通りかかった英雄とひかりが目撃する。木根の渾身のストレートをいきなりホームランにする比呂。
「タイムアウトのない試合の面白さを教えてやるよ」。これで点差は3点。続く野田はピッチャーライナーに倒れたものの、一気に愛好会は勢いづくのだった。
さて、翌表、サッカー部の攻撃にいよいよ青南中黄金バッテリーが復活した。注目の第1球、剛速球が野田のミットに納まる。これにはサッカー部員も愛好会の先輩も驚いた。木根が比呂の入部届けを確認する。そこには「青南中」の文字が。その時愛好会の先輩も比呂と野田の素性を思いだす。「あいつら関東大会優勝バッテリーだ!」「そんなに凄い人だったんですか?」と驚く春華。
回は進み、比呂と木根の2度目の対決がきた。「お前のカーブが見てみてぇなぁ」と木根を挑発する比呂。そして次の球、木根の投げたカーブは予想以上のキレをみせ、比呂は空振り三振。がしかし、キャッチャーも捕れず、比呂は振り逃げで1塁へと走った。次は野田の番だ。「俺は予想以上のキレのカーブがくると解っている!」野田の一振りは見事ホームラン!これで僅か1点差だ。そして最終回。比呂の前のバッターはデッドボールで1塁に。ホームランが出れば逆転サヨナラだ。ここまで試合の様子を黙って見ていたひかりが、冗談ぽく英雄に聞く。「どうですか?解説の橘さん」「中学の時、あいつはサヨナラヒットの数だけは俺より多かったんだ。9回のあいつは一番頼りになるんだよ」と英雄。
息詰まる比呂と木根。第1球を…木根はその瞬間1塁に牽制球を投げたのだ。ランナーは戻れずタッチアウト。呆然とする比呂を尻目に、試合はサッカー部の勝利に終わった。翌日の学校。校内の掲示板には比呂と野田の写真が張り出され、2人は一躍有名人に。しかし当の2人はいつものように屋上でパンをかじっていた。そこに春華がやってくる。比呂の肘と野田の腰のことを知らない春華は、無邪気に2人に野球愛好会に入ってくれるようにお願いしにきたのだった。野田は事情を説明する。「あれは俺たちの引退試合ってわけ」。春華はがっかりしながら去っていった。
さて、そんなある日、比呂と野田は学食のテレビで、自分たちの診断をした上武医師が偽医者だったというニュースをみる。雄たけびとともに2人は早速別の病院に診察を受けにいった。結果…2人の肘と腰は何の異常もないことが判明する。喜ぶ2人。しかし、これから先、明和に転校し英雄とともに甲子園を目指すのか、それとも千川で野球愛好会にはいるのか、比呂と野田は迷うのだった。
くしくも夏の高校野球予選はスタートしていた。英雄の応援に球場へと足を運ぶ比呂と野田。ひかりは2人が当然明和に転校するものと思い、無邪気に比呂たちに話しかける。いよいよ英雄の高校野球初打席だ。ピッチャーの投げた球は見事にセンターバックスクリーンへと吸い込まれた。初打席初ホームラン。それを見ていた比呂はこうつぶやく。「あいつと対戦できるピッチャーは幸せだよな…」。
これで心は決まった…はずだった。千川高校にもどり野球愛好会の練習場所、いつもの裏庭にきた2人。春華は2人が入会してくれるものと大喜びだ。しかし比呂の口からはは「やっぱり俺できません」の言葉。一体何が比呂の心に引っかかっているのだろうか…。



2話『鬼校長と2人だけの応援団』
医者から「ガラスの肘」と診断された比呂(山田孝之)と、腰が悪いと診断された野田(中尾明慶)の2人は野球を断念、あえて野球部のない千川高校に入学した。しかし、再検査の結果、肘も腰も何ともないことが判明したのだった!
1度は野球愛好会に入ろうと決めた比呂だが、いざ愛好会の練習場の裏庭に来ると「やっぱり俺できないよ…」と入会をためらう。そう、甲子園を目指すということは、今までのような楽しいだけの野球ではダメなのだ。比呂はみんなに野球を嫌いになって欲しくなかった。その時、比呂の言葉に呆然としている春華(石原さとみ)たち愛好会の面々に、とんでもない情報がもたらされる。千川高校の柳校長(竜雷太)から「野球愛好会解散」の命令が下されたというのだ。春華たち愛好会のメンバーは怒って校長室に押しかける。比呂や野田も一緒だ。“本来勉学にいそしむための学校に、お遊びグループが存在すること事自体、健全な学生への悪影響になる”と解散の理由を話す柳校長に、“だったら部活動として承認して”と詰め寄る春華。
しかし、大の高校野球嫌いの校長は、「高校生に野球は必要ない」の一点張り。それでも食い下がる春華に対して柳校長は一つの条件を出した。明和一高との練習試合に勝てば野球部として承認、負ければ即刻解散というものだ。
強豪・明和に勝てるはずがないと諦めている愛好会の面々は、春華を一方的に責める。その様子を黙って見ていた比呂は「勝ちゃあいいんですよ」と一言。しかし「簡単に言わないでよ」と更に文句を言う小久保たち愛好会のメンバー。そこで比呂は負けたら自分も野球を辞めると宣言する。その代わり、自分も愛好会のメンバーとして試合することを決めるのだった。
やる気になった比呂と野田だが、肝心の部員が足りない。7人しかいないのだ。 ある日、比呂は校内で守道(森廉)を発見する。守道は中学時代セカンドを守っていた名プレイヤーだ。比呂と野田は守道をスカウトしに自宅を訪ねるが、野球は中学までと父と約束したから出来ないと断られる。なんと守道の父親は柳校長だったのだ。
メンバー集めは振り出しに戻った。比呂が帰宅途中、いつものように袋とじを破ろうとすると、里美(佐藤めぐみ)と亜沙子(柳沢なな)が息を切らせて駆けてきた。何と、春華が木根(石垣佑磨)に愛好会に入ってくれるように頼んだと言うのだ。しかも木根はその条件として春華に自分とデートするように言ったと言う。驚いて春華を探しに駆け出す比呂。
汗だくになりながら探し回り、やっとのことで春華をみつけると、まさに木根が春華にキスを迫る寸前だった!手にしたゴムボールを春華に当てて、すんでのところでキスを阻止。「いいのか?俺の力が必要なんじゃねぇのか?」と高飛車な木根に「いらねぇよ。人の弱みにつけこむようなやつは」と比呂。春華を送りながら「お前があんな事して…勝っても誰も喜ばないぞ」と優しく声をかける比呂。ぶっきらぼうだが、優しいその言葉に思わず笑みがこぼれる春華だった。
試合当日、明和一高は千川野球愛好会の相手に二軍を送り込んできた。比呂のライバル英雄(田中幸太朗)ら一軍はベンチに入ったまま。しかし、比呂にとってはむしろ好都合!正体がバレなければ打たせて取る作戦がうまくいく。ひかり(市川由衣)も今日だけはボーイフレンドの英雄ではなく、比呂の応援をすることに。再び野球をやれることになった比呂を温かく見守る。足りなかったセカンドには“風邪ひき男”(柳守道)が入り、センターには木根が入ることになった。木根は試合の少し前、英雄の挑発に乗り、何としてもリベンジするために愛好会に入っていたのだ。
予想通り、中学時代に関東大会を制した黄金バッテリー比呂と野田の前に、明和打線は不発。なんと先制点は千川だった。試合を見に来ていた柳校長は明和一校長に「負けてもらっては困るんですがね」と不機嫌そうだ。
回は進み、8回の表。勝利は目前だ!ここでベンチの春華とひかりから比呂に声援が飛ぶ。「比呂っ、しっかりね!」「頑張って、国見くん!」。その声に「あっ」とした人間が2人いた。1人は比呂本人。もう1人は明和一野球部監督の長谷川(斉藤洋介)だ。
比呂が関東大会を制したあの国見比呂だと気付いた長谷川は、早速代打を送る。いよいよ明和一のレギュラー陣の登場だ。バレてしまったものは仕方ない。気合を込め直す比呂。「しっかり見てて下さいよ。ここからがあなたの嫌いな高校野球ですからね」柳校長に向かってそうつぶやくと、全力で野田に向かって投げ込んだ。3者連続三振。本気を出した比呂の球に、明和一レギュラーといえども手が出ない。
いよいよ9回表。ここを抑えれば野球部昇格だ。しかし、味方のエラーでランナーは1塁2塁。しかもここでバッターは英雄。渾身の球を投げ込む比呂。しかし、英雄のバットはその球を見事に捕らえた。ピッチャー返し!と思った瞬間、打球は比呂の右足を直撃した。痛みに耐えて投げる比呂だったが、この回2点を取られ逆転を許してしまう。
最終回、“風邪ひき男”(柳守道)が粘ってフォアボールで1塁に。続く比呂は痛む足を押してヒットを打ち、これでランナー1塁2塁。4番木根の気合のヒットで満塁となり、野田の打順を迎える。「好球必打!」と打ち返した打球に横っ飛びで飛びつく英雄。必死に一塁へと駆け込む野田だったが、英雄の素早い送球で判定はアウト!この瞬間、野球愛好会の解散と比呂が野球を辞めることが決定した。
しかし、その様子を見ていた柳校長は「助けられましたな。昔から目だけはいいものでね」という言葉を残して去っていく。そう、最後のプレーで一塁手の足が、僅かだがベースから離れていたのを、校長は見逃さなかったのだ。
比呂の足の怪我は全治3週間と診断された。川原で次の部活を何にするか考えていると、いつのまにか愛好会の面々が勢揃いしている。比呂と一緒に野球をすることで、甲子園の夢を見ることができた彼らは、校長に何とか野球部にしてもらえるように作戦を考えに来たのだ。野田が守道を誘拐したという設定で、野球部を作ることを要求するというアイディアを提案するが、比呂には「やりたきゃ勝手にやれ」と一蹴されてしまう。
それならと、本当に電話をかける野田…。野田「息子さんを預かった。無事に返して欲しければ、千川高校に野球部を作れ」、柳校長「…分かった。言う通りにしよう」。一瞬何が起こったのか分からない顔をしながら、愛好会のメンバーに「野球部作るって」と伝える野田。驚くメンバーたち。すると守道が立ち上がり突然駆け出した…。
守道の家。守道は校長である父に向かって本当に野球をやりたいんだと要求する。校長は条件を一つ出した。「肩を揉め」。本当は野球が好きで好きでたまらない2人の親子の姿がそこにはあった…。
こうして千川高校野球部が誕生した。しかし、甲子園を目指すにはまだまだ超えなければならないハードルがいくつもあるのだった。



3話 『幼なじみって大切ですか?』
千川高校に遂に野球部が誕生!!比呂(山田孝之)は、敦(中尾明慶)と共に再び甲子園を目指し始める。マネージャー・春華(石原さとみ)も大張り切りだ。
ある朝、比呂が目覚めると何故か部屋に春華が。しかも比呂のエッチな本を見ながら「国見くんてこういうのが好きなんだぁ」と妙な感心をしている。眠気も吹っ飛び大慌ての比呂。実は春華は、明和一高との試合で足を怪我した比呂を病院に連れて行くために来たのだった。まだ2週間は絶対安静なため、春華は運転手つきの高級車で病院に無理やり比呂を連れて行く。車に乗り込む比呂を偶然見かけたひかりは、複雑な表情を浮かべるのだった…。
さて、野球部に昇格したことで、監督が発表になった。PTA会長の推薦で、監督になるのが夢だったという人物だ。しかし現れたのはアロハシャツを着たサングラスの男性・富士夫(的場浩司)。なんと比呂を病院に連れて行った時の運転手だ。実は富士夫は、春華の実の兄だった。
夏休みも終わり、二学期が始まった。そんなある日、部活を終えたひかり(市川由衣)は、英雄(田中幸太朗)が佐川(北条隆博)にお金を渡しているのを見てしまう。英雄に聞くと、幼なじみで6年ぶりに再会したのだという。英雄は心配ないというが、不良っぽい佐川を見たひかりは不安で仕方ない。
数日後、ひかりが英雄の家に行くと、そこに佐川が現れた。英雄に因縁めいたことを言う佐川に恐怖を覚えたひかりは部屋を出ようとするが、ドアを阻まれてしまう。するとそこへ、比呂と野田がやって来た。比呂と佐川、敦は一触即発の状態に。
「俺って周りをよく見ないで素振りするんだよね」とすごむ敦に、佐川は「熱くなるなよ」と捨て台詞を吐き、部屋を出て行く。
英雄が練習から帰ってくると、部屋には比呂が待っていた。ひかりが英雄と佐川のことを心配していることを知り、英雄に佐川との関係を聞くためだ。英雄の口から初めて明かされる佐川との関係。佐川の兄はプロを目指しているキャッチャーでその実力も折り紙つきだった。しかし、車にひかれそうになった英雄を助けるために肩に怪我をし、そのせいで肩を壊して野球を諦めたのだ。
翌日、比呂が佐川のアパートを訪ねた。英雄に付きまとうのをやめさせるためだ。そこで佐川は比呂に勝負を持ちかける。負けたら英雄には2度と近づかない約束だ。
千川高校野球部グラウンドで2人だけの勝負が始まった。カゴ一杯のボールを比呂が投げ、佐川が1球でも前に打ち返したら勝ちというルール。比呂の「プレイボール」の声とともに第1球が…空振り。と、その時偶然、敦が通りかかる。敦からの連絡でグラウンドに駆けつける春華とひかり。春華はマウンドの比呂を見るなり止めに入る。そう、比呂の足の怪我はまだ完治していないのだ。
しかし比呂は「ごめん」と一言残しただけで、勝負を止めようとはしない。春華とひかりと敦は諦めて勝負を見守るしかなかった。佐川が全く打ち返せないまま勝負は最後の1球に。比呂は最後の力を振り絞って投げ込んだ。佐川のバットはむなしく空を切る。勝負には勝ったが、その場に倒れ込む比呂。
佐川「ばっかじゃねーの?」
比呂「ケンカ売ったのそっちだろ」
佐川「買うことねーじゃん」
比呂「けど一つ分かった。お前相当野球すきだろ」
佐川は黙って去っていく。その心に比呂の気持ちは届いたのだろうか。この勝負の代償は思ったより大きかった。比呂の足の怪我が悪化し、ドクターストップがかかったため、千川高校は秋の大会の出場を辞退したのだ。比呂のいない大会で英雄の明和一高は優勝し、春の選抜出場を確実なものとした。
半年後…。比呂の足の怪我も癒え、練習に明け暮れる千川高校野球部員たち。その中には新入部員・佐川の姿もあった…。



4話『二度目の春…胸騒ぎの初デート』

春の新学期を迎え、高校2年生になった比呂(山田孝之)と春華(石原さとみ)は、同じクラスに。他に野田(中尾明慶)や柳(森廉)といった野球部員も同じクラスになった。木根(石垣佑磨)を除いては…。そして、足の怪我も完治した比呂は、富士夫(的場浩司)の指導の下、夏の甲子園大会予選に向けて、練習に励んでいた。
一方、英雄(田中幸太朗)のいる明和一高では、野球部に新しいマネージャー・美歩(貫地谷しほり)が入部。英雄に興味を持った美歩は熱烈なラブアタックを開始する。
ある日の練習中、木根が投げた球が比呂の左腕を直撃する。春華に手当てをしてもらう比呂。が、しかしドジな春華はきちんと包帯を巻くことが出来ない。諦めた比呂は春華の言うことを何でも聞くことを条件に、自分で治療をさせてくれと持ちかけた。結果…翌日の練習休みに比呂と春華はデートをすることになった。
ゴーカートやジェットコースターなどといったアトラクションを楽しむ2人。そしてデートの定番、観覧車に。本当は高いところが苦手な比呂だったのだが、春華が乗りたそうにしているのを見て、乗ろうと誘ったのだった。ところが、その観覧車に乗っている途中に2人は偶然英雄とひかり(市川由衣)を目撃してしまう。「同じ日に同じところか…」。4人は合流した。
比呂と英雄が飲み物を買いに行っているあいだに、すっかり打ち解けて話す春華とひかり。ところが、比呂たちが飲み物を持って戻ると、突然春華が倒れた。そう、実は春華は前日から風邪で熱があった。楽しみにしていたデートを中止にするのが嫌で無理をしたのだった。比呂は春華を背負って自宅まで送り届けることに…。
翌日、野球部の練習が終わり、ベンチで話す比呂と佐川(北条隆博)。何で明和に行かずに千川にきたのかという比呂の問いに対して佐川は「広田(青木崇高)に借りを返したい」と話す。広田は千川と同じ北東京ブロックの栄京高校のエースだ。一体2人の間には何があったのだろうか。そのとき、不意に比呂にボールが飛んでくる。佐川がとっさにかばったお陰で当たりはしなかったが、ボールの飛んできた先には島(中村友也)と大竹(弓削智久)がいた。明らかに比呂を狙ったのだ。
比呂が帰宅すると、何故か居間にひかりの両親がいる。雨宮家の風呂が改装工事で、風呂を借りにきたのだった。比呂が着替えようと風呂場の扉を開けると、そこには風呂上りのひかりが…。翌日。異様に高いテンションで練習をする比呂。頭の中に残った昨晩のひかりの姿を打ち消そうとしていたのだ。
同じ頃、英雄はひかりに野球部のマネージャーになってくれるようにお願いしていた。マネージャーになれば合宿中でも会えるからだ。しかしひかりはその話を断った。その日の練習帰り…。美歩から比呂がひかりの裸を見たことを知らされた英雄は、これまた練習帰りの比呂のところに怒鳴り込む。英雄宅の裏で話し込む2人。最初はひかりの裸を見た・見ないで言い合っていた2人だが、英雄の悩みは別にあった。ひかりが本当に自分のことを好きなのかどうかで悩んでいたのだ。比呂は英雄を「安心しろよ。お前らはしっかり者の似た者カップルだ」と励ます。
翌日の千川野球部の練習グラウンド。前回のデートで、ワリカンならいつでも付き合うといった比呂を春華は水族館に行こうと誘う。2度目のデート当日。その日は朝から雨が降っていた。若干遅れて待ち合わせ場所に到着した比呂だが、待てど暮らせど春華はこない。諦めて自宅に帰ると、その日の朝、春華からの伝言が父親に入っていたことが判明する。比呂はあわてて待ち合わせ場所の喫茶店に向かった。怒ったような表情で春華のそばに歩み寄る比呂。
「親父なんかに伝言頼むなよ」「でも練習で疲れてるだろうし、無理に起こしちゃ悪いなって…」「だったら何で朝9時なんかに待ち合わせなんだよ」「デートの時間は長い方がいいモン…」「だから起こせって…」「待ってる時間もデートの内でしょ?」、微笑む春華に思わず見とれてしまう比呂だった。
翌日の練習、島と大竹は共通の親戚の結婚式で休みだった。実は島と大竹の2人は親戚同士だった。式場のホテルで所在無さげに立っている2人。そんな2人に話し掛けてくる男が。なんとそれは栄京高校の広田だった。島と大竹は広田のスパイだったのだ。3人は千川を陥れる相談をしていた。
夕焼けが綺麗な千川野球部グラウンドで、春華の投げるボールを受ける比呂。夏の予選はもう目の前だ・・・。



5話『初勝利…キスしていいですか?』

2年生の夏を迎えた比呂(山田孝之)は、夢の舞台、全国高校野球選手権大会に向けて猛練習中。甲子園出場への第一歩、北東京予選トーナメントは目前だ。しかも千川高校と同じ北東京ブロックには、春夏連覇を期待される強豪、栄京学園のエース・広田(青木崇高)がいる。
富士夫(的場浩司)から公式戦の選手15名が発表された。比呂を潰す目的で千川野球部に入部した大竹(弓削智久)と島(中村友也)も部員が少ないためベンチ入り。しかも大竹は出会い頭の一発、島は俊足を買われている。
ある日の放課後。練習が終わった部室で木根(石垣佑磨)が春華(石原さとみ)からもらった手作りのお守りをにやけ顔で見つめていた。しかし、お守りは木根だけでなく野田(中尾明慶)や柳(森廉)、部員全員のロッカーに入っていたのだった。ところが、比呂のロッカーにはお守りがない。必死に探す比呂。そこに春華が現れて…比呂には特製のお守りを手渡しする。
いよいよ夏の予選1回戦が始まった。ひかり(市川由衣)も見に来ている。実はひかりはスポーツ新聞に比呂の紹介記事を書くことになっていたのだ。
千川高校は、初戦を勝利で飾った。しかも比呂がノーヒットノーランというオマケつき。試合後、比呂と春華が球場を歩いていると、突然春華が言った。「キスしていいですか?」。あっけに取られる比呂。初勝利のお祝いにほっぺにキスしていい?という意味だった。比呂の戸惑いをよそに、キスしようとする春華。その時比呂の視界ににひかりがはいってきた。「あ、ちょっ…」、焦った比呂が顔を動かすと、比呂の唇と春華の唇が、軽く触れ合ってしまい…。目線の先のひかりは何故かピースサインをだして去っていった。
比呂の初勝利から二日後。南東京の第一シード、明和一高も英雄(田中幸太朗)の活躍で初戦を勝利で飾った。その後も千川は比呂の好投とチームの活躍で順当に勝ち進んでいった。
その頃、大竹と島は栄京の広田に呼び出され、「(比呂を)きっちり潰しておけ」と脅かされる。大竹と島には、広田に逆らえないある事情があったのだ…。と、たまたまそこを通りかかった春華は、喫茶店から出てくる3人を目撃する。
千川と栄京の決勝戦が明日に迫った。比呂は春華を誘って喫茶店に行くが、そこには英雄とひかりの姿が。英雄と久しぶりに二人きりの時間を楽しみたかったひかりだが、英雄は比呂とばかり話をする。そんな英雄にひかりは寂しさを隠せない。
ついに甲子園出場をかけた決勝戦が始まった。広田はさりげなく、島と大竹に目配せをする。ベンチからその様子を見ていた春華は、大竹と島の会っていたのは広田だと確信した。そしてそのことを比呂に伝える…。ともあれ試合は始まった。広田の球に手も足もでない千川ナイン。比呂までもが三振だ。しかし、比呂も広田の第1打席、お返しとばかりに三振を奪う。
試合は進み、2番・柳が打席に入った。その第2球目。突然広田の肘を激痛が襲う。力のない球を柳は見事にホームラン。千川が1点を先制だ。更に試合は進む。同点にされた千川、その時バッターの打球がファースト大竹のところに。比呂の顔に一瞬不安の表情がよぎる。落とすのでは…。比呂もそのフライを捕球しに走った。今まさに大竹が捕球しようとするその瞬間、比呂が突然グラウンドに倒れこんだ。大竹と激突したのだ。動かない比呂…、この後の試合の行方はどうなるのか…。



6話『いざ甲子園!?入れ替わりWデート』
いよいよ始まった夏の甲子園大会予選。比呂(山田孝之)たち千川高校野球部は決勝まで勝ち残り、春のセンバツ優勝校・栄京高校との対戦に臨んだ。
千川リードで迎えた8回裏、ボールを追った比呂は、ファーストの大竹(弓削智久)と接触し倒れたまま動かなかった。千川ナインが駆け寄り様子をうかがう。むくりと起き上がる比呂。しかし比呂の左眼は大きく腫れあがっていた。
9回表の千川の攻撃。打席には島(中村友也)が立っていた。島はベンチで大竹と話し、比呂とのアクシデントがわざとではないことを聞かされていた。島も大竹も、このまま広田の言いなりになっていていいのかと迷っていたのだ。その時スタンドから島の父親が叫んだ。「借金の肩代わりは断った!息子の負けを願うような親になりたくない!」。この一言で島は決断した。自分自身のために野球をすることを。そして広田(青木崇高)の球を強振。打った!必死に1塁へとヘッドスライディング。しかし惜しくもアウト。
9回裏、栄京の最後の攻撃。アイシングはしてきたものの、比呂は左眼の腫れでピッチングが乱れ、一打サヨナラの場面を迎えてしまう。マウンドに集まる千川ナイン。そして大竹が目の治療を買って出るのだった。ボクシング経験者の大竹にはこの手の怪我は慣れっこだった。
治療も終わり投球練習…しかし比呂は大暴投。佐川(北条隆博)が「やっぱ見えてないんですか?」と駆け寄ると「あたりめーだろ。目つぶって投げてんだから」と比呂。投球練習中は目を開けるなと大竹に指示されていたのだった。いよいよ本番投球。注目の中、第1球は…剛速球がど真ん中に決まった!比呂の復活だ!
栄京の打席には広田が。最後のバッターになってしまうのか?第1球ストイライク、第2球空振り、2ストライクと追い込んだ比呂。そして第3球、比呂の渾身の球を広田は打った。打球はレフト島の前方へ。必死に走る島が飛び込んで…アウト!!超ファインプレーだ!この瞬間、千川高校の甲子園初出場が決定した。
さて、比呂が家に帰ると自宅では大祝勝会が行われていた。うるさくて眠れない比呂は、ひかりの家で寝ることに。しかもさくら(七瀬なつみ)からひかり(市川由衣)のベッドで寝てと言われたため、言われるままにそうしたのだった。そこへ、ひかりが急遽明和一の合宿所から着替えを取りに戻ってきた。ぐっすり眠っている比呂に「おめでとう、比呂」と声をかけるひかり。その時ベッドから比呂が滑り落ちた。起こそうとするひかりに、丁度抱きつくような格好になる比呂…。
ひかりが合宿所に戻ると、英雄(田中幸太朗)が素振りをしていた。立ち去ろうとするひかりに英雄は、比呂がひかりの部屋に寝ていたことを問いただす。ひかりの気持ちを信じたいが、今ひとつ信じきれない英雄の姿がそこにはあった…。翌日、明和一高も甲子園出場を決めた。
いざ甲子園へ。千川と明和一は同じ宿舎だった。比呂・春華(石原さとみ)・英雄・ひかり・敦(中尾明慶)の5人は早速出かけることに。ところが、英雄には急に取材がはいり、春華は宿舎に財布を忘れと、待ち合わせの場所にいつまでたっても揃わない5人。しかもそれぞれが勝手に動くため、行き違いばかり。何故か英雄と春華、比呂とひかりと敦の2グループでデート?するはめに。
そして夏の甲子園が開幕。
翌日の準備のために春華は自分のバッグを開けたつもりが、間違えてひかりのバッグを開けてしまう。そこでふとある事実に春華は気付いた。春華のバッグのキーの暗証番号は116。比呂の誕生日1月16日に合わせたものだ。それでひかりのバッグも開いたということは、ひかりも暗証番号を116にしていたということ。これは一体…。疑惑の思いにかられている春華に木根(石垣佑磨)は“比呂とひかりが隠れてつきあっている”と吹き込む。木根にしてみれば、春華を比呂から引き離す策略のつもりだったのだが…。
そんな春華の思いとはうらはらに、試合当日がやってきた…。

7話『…夢じゃねぇんだな』
千川高校野球部にとっての甲子園初戦の日がやって来た。マウンドに立つ背番号1の比呂(山田孝之)は、野田(中尾明慶)のミットを鋭く見据えると大きく振りかぶった!
翌日、比呂の写真がスポーツ紙面を大きく飾った。初戦をノーヒットノーランで勝利したのだ。ひかり(市川由衣)が新聞を満足そうに読んでいると、そこに比呂がやって来た。楽しそうに二人が笑いあっている姿を見た春華(石原さとみ)の胸中は複雑だ。木根(石垣佑磨)から「国見とひかりは陰で付き合ってる」と聞かされたからだ。比呂の前でギクシャクしてしまう春華はついつい比呂から逃げてしまう。
春華が屋上で洗濯物を干しているとひかりがやって来た。ひかりは春華に比呂と何かあったのかと聞く。それには答えず、春華はひかりのバッグを開けてしまったことを謝る。ひかりはその話で、春華が116の暗証番号にこだわっていることに気が付いた。1月16日は比呂の誕生日だ。しかし英雄の誕生日が11月6日で自分は英雄の誕生日を暗証番号にしていたのだとひかりは春華に説明する。
一方、比呂も春華が元気がないことを心配していた。英雄(田中幸太朗)と話すうちに元気になった比呂は、二回戦へと気持ちを切り替える。
二回戦の相手は、強力打線の伊羽商業。ピッチャーの月形(林剛史)は球種も多く手強い相手だ。試合が行われる8月16日は、ひかりの誕生日だった。宿舎の部屋で一人、子供の頃の誕生日を思い出しているひかり。そこに比呂がやってくる。
比呂「プレゼント何が欲しい?」
ひかり「どーせいつものヤツでしょ」
比呂「おお」
ひかり「期待してるわよ!」
そう、子供の頃から比呂からひかりへの誕生日プレゼントは勝ち試合のボールと決まっていたのだった。
翌日。いよいよ対伊羽商戦が始まった。7回まで0対0。比呂と月形の投手戦だ。宿舎のテレビで試合を観ていた英雄は「(毎年)比呂のベストピッチングはひかりの誕生日だった」と言い、ベンチでは比呂もまた「ひかりの誕生日で負けた試合はない」と言う。膠着状態が続き、試合は延長戦に入った。
延長10回表。先頭バッター柳(森廉)がヒットで出塁。続いて比呂だ。打った!1塁に走りこむ。ピッチャー月形がタッチに…際どい!その時だった。1塁ベース上に伸びてきた月形の手を無理に避けようとした比呂は足をひねってしまう。この回千川は1点を先制した…。
10回裏。比呂は、先頭バッターは木根のファインプレーでなんとか討ち取ったものの、続くバッターにはヒットを打たれる。10回表のプレーで怪我をした足には激痛が走っていた。盛り上がる伊羽商ベンチ。そんな中、月形だけは比呂の足の怪我に気付いていた。自分の手を避けようとして、足をひねったのを目撃していたのだ。続くバッターも出塁し、2アウトランナー2塁3塁。一打サヨナラのピンチ!
月形から比呂の足の怪我のことを聞いた伊羽商ナインは、比呂に徹底してバント攻めをしていた。口から血を流すほど歯を食いしばり、痛みに耐えて投げる比呂。しかし次のバッターも当然バント。比呂は必死で捕って一塁に送球。しかしこれが暴投に。2人のランナーがホームに生還した瞬間、千川の夏は終わった…。
その日の夜。公園でボーっと海を眺める比呂。そこにひかりがそっと近づく。比呂はひかりに彼女への想いを話す。彼女への想いを確かめるためにも英雄と勝負がしたかったのだ。
「そっかぁ、負けたのか俺…」
「めちゃめちゃ調子良かったのに…。ひかりの誕生日だったのに…。英雄が待ってたのに…。負けたのか俺…」
そんな比呂にひかりは何も言ってあげられなかった。ただ抱きしめてあげる以外には。
そこに春華がやってきて、その様子を目撃してしまう…。



8話『二年生・秋…それぞれの選択』

比呂(山田孝之)の甲子園が終わった。ひかり(市川由衣)の誕生日に比呂が勝てなかったのは初めてだった。その日の朝方…。公園でボーっと海を眺める比呂。そこにひかりがそっと近づく。比呂はひかりに彼女への想いを話すのだった。ひかりが比呂をそっと抱きしめる様子を見た春華(石原さとみ)は、ますます不安になり比呂を避けるようになってしまう。
東京に戻ってきた比呂は、野田(中尾明慶)の監視の下、病院へ通う毎日。一方の春華は、明和一高まで英雄に会いに行く。そして自分の知らない中学時代の比呂のことを教えてもらうのだった。
そして比呂たちは2学期を迎える。足の怪我も癒えた比呂は、野球部の部室で木根(石垣佑磨)から思わぬ情報を聞いた。全日本選抜に選ばれた英雄(田中幸太朗)が台湾遠征の練習中、打球を顔面に受けて負傷したというのだ。慌てて英雄の家に向かう比呂と敦。確かに英雄の左眼の部分にはあざが残っていたが、英雄は大丈夫だと言う。しかしその表情は暗かった。
逆に英雄は比呂に対して春華を心配させないように注意し、買ってきた台湾土産で仲直りするように勧める。が、しかし比呂は聞き入れない。そんな比呂に怒った敦は、部屋から出て行ってしまう。
英雄の家からの帰り道、ひかりも比呂に春華と仲直りをするように言う。何となく納得できない表情ながらも比呂はその忠告を受け入れるのだった。
翌日から比呂は、春華と話す機会を伺うが、なかなかタイミングが合わない。そうこうするうちに、春のセンバツ高校野球出場をかけた、秋季大会が開幕した。順当なら決勝で明和一とあたることになる。比呂たち千川野球部は順調に勝ち進むが、なぜか英雄は公式戦にまったく出場していなかった。
比呂と敦はその理由を聞くためにひかりの家を訪ねる。と、そこに眼鏡をかけた英雄も現れた。最近よく通りで声をかけられるから変装のためだと言い訳する英雄だが、比呂と敦は納得しない。そんな2人に英雄はこれは戦略だと話すのだった。
あくる日、英雄の机を整理していたひかりは、置いてあった眼鏡をかけてみる。すると…レンズには度が入っていた。変装でも戦略でもなく、英雄は本当に左眼の視力が落ちていたのだ。英雄を欠いた明和は決勝にたどり着くまでもなく負けてしまう。明和一の選抜甲子園大会出場への夢が断たれたと同時に、比呂と英雄の対決も夏の甲子園へと持ち越されることになった。
千川が順当に勝ち上がっていた頃、英雄は一人高台のベンチに座っていた。そこにひかりがやってくる。そう、そこは英雄とひかりが初めて2人きりでデートした思い出の場所だった。ひかりに心配をかけたくなかったから、視力のことは黙っていたのだと話す英雄。しかし実は英雄も怖かったのだ。今まで決してひかりの前では弱みを見せなかった英雄が、初めて本音を見せたのだった。
英雄の苦しみを知ったひかりは、ある決意を胸に比呂の元へと向かう。公園で話す2人。「私の初恋は英ちゃんだから…」「もう比呂の応援には行かない…」。悩んだ末に英雄を選んだひかりの決意の言葉だった。
翌決勝当日。ベンチ裏で切れたスパイクの紐を直しながら春華は、多くの人のために、夢をかなえるために甲子園に行こうと比呂を励ます。それを黙って聞いていた比呂は、「お前のためにもな」と残しグラウンドに出て行った。そして千川は見事秋季大会に優勝し、選抜甲子園大会への出場をほぼ確実なものにする。
選抜甲子園大会出場が決まった日、比呂は学校の屋上で敦を待っていた。そこに春華がやってくる。比呂は改めて「あの試合、お前のために勝ちたかったんだ」と話した。そして甲子園近くのお好み焼き屋に2人で行こうと誘う。比呂から初めてのデートの誘いだ。
月日は流れ、3年生も卒業していく日がきた。そんなある日、比呂がいつもの様に雨宮書店を訪ねると臨時休業の張り紙が。何とさくら(七瀬なつみ)が入院したのだった。お見舞いに訪れる比呂と母・信子(石野真子)。いつもの様に満面の笑みで比呂を迎えるさくらがそこにはいた。比呂はさくらに甲子園優勝のウイニングボールをプレゼントすることを約束して甲子園へと旅立つ。
選抜甲子園大会が始まった。順当に勝ち進む千川。英雄とひかりもテレビの前で応援だ。そして…千川高校は選抜甲子園大会で初優勝をかざる。多くの生徒が待ち受ける中、凱旋帰校する千川ナイン。比呂と敦がバスを降りると、何故かそこに父・太郎(柳沢慎吾)が立っていた。怪訝そうな表情の2人に太郎は近づき、沈痛な面持ちで口を開く。「比呂、さくらさんが…亡くなった…」、その瞬間、全ての時が止まった…。



9話『約束の夏へ 』

比呂(山田孝之)たち、千川高校野球部は春のセンバツに初出場し見事初優勝!快挙をなし遂げた。しかし帰京した比呂を待っていたのは、ひかり(市川由衣)の母、さくら(七瀬なつみ)の突然の死だった。
さくらの葬儀の日、比呂は約束のウイニングボールをさくらの枕元にそっと置く。こみ上げそうになる涙を耐える比呂を、ひかりもまたやるせない笑みで見つめるのだった。そんな二人の様子を見守る春華(石原さとみ)と野田(中尾明慶)の胸中は複雑だ。さくらが荼毘にふされるのを待つ間、英雄(田中幸太朗)はひかりに声をかけた。しかし、ひかりは「もう大丈夫だから心配しなくていい」と立ち去ってしまう。
その頃、比呂は一人葬儀場を後にしようとしていた。「もうちょっといてやろう」、呼びかける野田。しかし比呂は「一緒にいたら先に泣いてしまう」と聞かない。春華は「それなら一緒に泣いてあげればいい」と言うが、比呂はそんなみっともないことは出来ないとその場を立ち去るのだった。
3年生の新学期が始まった。選抜甲子園大会優勝の実績ができた千川高校野球部には入部希望者が殺到。目指すは甲子園春夏連覇だ!ところが、期待のエース比呂の姿はグラウンドにはなかった。いまださくらの死のショックから立ち直れないでいたのだ。
千川野球部に新しく出来た合宿所に入る前日、比呂はさくらにその報告をするためにひかりの家にいった。ひかりの家にいるとさくらとの思い出が比呂の脳裏に蘇ってくる。階段に座り込み、改めて、もうさくらはこの家にいないのだと実感するのだった…。比呂のその様子をみたひかりの父・太一(杉本哲太)は、さくらの昔話を話し聞かせる。さくらが男の子を欲しがった事…、階段の横の落書きを決して消そうとしなかったこと…。比呂はさくらの想いに応えて、必ずまた甲子園に行き、絶対に有名になると決意を固めるのだった…。
翌日からの練習、比呂は人が違ったかのように全力投球を繰り返す。新入生の実力を見るために比呂に投げさせていた富士夫(的場浩司)は不満顔だが、千川ナインは復活した比呂を暖かい目で見守っていた。
一方、ひかりは今年も夏限定のマネージャーを引き受けていた。実家のこともしつつ、夜は受験勉強と、息つくまもない忙しさだ。それはさくらの死を思い出さないために糸を張り詰めているかのようだった。そんなひかりを心配する英雄は、俺の前では泣いてもいいと言うが、ひかりは大丈夫だとひたすら強がる。英雄はこんな時に何もして上げられない自分をもどかしかった。
ある日、合宿所に比呂の母・信子(石野真子)が倒れたと連絡が入った。雨宮書店の手伝いの最中に倒れたが、ひかりが付き添ってくれたと言う。さくらが入院以来、さくらの分までもと頑張ってきた無理がたたったのだ。春華からその話を聞いた比呂は急いで家に帰る。家では父・太郎(柳沢慎吾)が待っていた。「俺がちゃんと無理しちゃだめだよって言ってあげてれば…」と悔やむ太郎。
その日、比呂は家の近くの広場にひかりを呼び出した。そこは子供の頃から比呂とひかりがよくキャッチボールをしていた思い出の広場だった。「何?こんなとこに呼び出して?」。ひかりの問いには答えずおもむろにグローブを投げてよこす比呂。2人は子供の頃のようにキャッチボールを始めた。
昔のことを思い出しながらキャッチボールを続ける2人。その時、2人を夕ご飯に呼ぶさくらの声が…。ボールを受けながら、さくらが死んでから今まで決して泣かなかったひかりの頬に涙が流れる…。そしてそんなひかりの全てを包み込むかのように、黙って優しい笑みを浮かべながらボールを投げつづける比呂…。英雄はそんな2人の様子を遠くから見ているしかなかった。
比呂が合宿所に戻ると春華が待っていた。ひかりが比呂の家の世話までしている話を聞き、それを羨ましがる春華。比呂のことをたった2年分しか知らない自分は、ただ待っていることしかできない。春華は比呂を小さい頃から知っていたら、きっと自分の初恋は比呂だったと告白する。
翌日。英雄は学校に行く前に話があるとひかりを呼びとめる。ひかりの気持ちを確かめたかったのだ。「俺は強くなりたい、誰よりも」「比呂にだけは絶対に負けるわけにはいかない、何故なら俺は比呂のファンだから」とひかりに話す英雄。そして最後に英雄はひかりに聞いた。「ひかり!比呂のこと好きか?」一瞬の間をおいたひかりの返事は「大好きよ!…バカ!」だった。
夏の甲子園大会が始まった。千川は順当に勝ち進み、見事、春夏連続出場を決める。明和一は前日に既に出場を決めていた。比呂の試合の応援に来ていたひかりは、そのことを後悔していた。「比呂の試合を見に来ると、勝っても負けても泣きそうになるから」。そういうひかりに対して太一は「でも悪いことじゃない」と言う。しかしひかりは「悪いよ…」と言うのみ。比呂と英雄の間で揺れる心…。
様々な人の様々な想いをはらみながら、いよいよ最後の夏が始まる…。



10話『もう一度選べ最後の甲子園準決勝』
見事に夏の甲子園大会出場を決めた千川高校と明和一高。出発前の練習で、千川の今年の宿舎は去年と違うことが判明する。別に甲子園で投げられればどこでもいいと言う比呂(山田孝之)。これには実は裏があったのだが…。
さて、出発前に比呂はさくらの仏壇に報告をしにいく。そんな比呂に太一(杉本哲太)はさくらの写真を託し「甲子園でおまえが投げているところをしっかり見せてやってくれ」と頼むのだった。
翌朝。比呂が朝食をとっていると、突然ひかり(市川由衣)が訪ねてきた。それはなんと突然のデートの誘いだった。楽しい一日を過ごした後、2人は夜の公園へ。子供の頃遊んだときも楽しかったと思い出すひかり。そしてそれは比呂がいたからだと告げる。
雰囲気を変えるように、話を変えて英雄(田中幸太朗)の調子を聞く比呂。すると突然ひかりは比呂に抱きつき…。「比呂と幼なじみでよかった…」そう言い残してひかりは去っていった。
翌日、千川ナインは甲子園へと出発した。宿舎につくと春華(石原さとみ)たちマネージャーは買出しに出かける。
一方、部屋で今後の進路について話す比呂と野田(中尾明慶)。浪人覚悟で進学する野田は比呂にプロに行くように勧める。その時突然比呂の携帯電話が鳴った。英雄からだ。
待ち合わせの神社で会う2人。英雄は比呂に、ひかりに比呂の事が好きかと尋ねたことを話した。「馬鹿じゃねぇの」と呆れる比呂。そして、ひかりはお前とは絶対別れないと英雄に言い切る。もし別れたとしても、その時付き合っている相手は俺じゃない、とも。何故?と問う英雄に対して「あいつは俺のことが大好きだからだ」と比呂は答える。英雄はその答えに妙に納得してしまうのだった。
その頃…。買出しに出かけていた千川マネージャーたちが宿舎に帰ってきていた。しかし春華の姿だけがない。比呂に頼まれたふりかけ「ねばり一番」を探していたのだ。そして、スーパーでふりかけを探している春華の前に現れたのはなんとひかりだった。
英雄と別れた比呂は、部屋で春華の帰りを待っていた。とそこに、木根(石垣佑磨)がやってくる。木根が机の上に広げた荷物の中に、比呂が春華に頼んだふりかけ「ねばり一番」があった。そして木根からそのふりかけが関東限定販売であることを聞いた比呂は愕然とするのだった。
春華のことを宿舎のロビーで待っている比呂。そこに春華が帰ってきた。「ハイッ!」と差し出されるふりかけ。比呂は戸惑いながらもそれを受け取る。
夜。ベンチで春華が座っていると、そこに比呂がやってきた。そして、どこでふりかけを見つけたのか尋ねる。しかし春華はそれには答えず突然宿舎の話を始めるのだった。「本当は去年と同じ所にも出来たけど、明和一高と一緒になっちゃうから…」「ひかりさんと一緒だと、私みんな負けちゃうから…」
春華の持ってきたふりかけは、ひかりにもらったものだったのだ。ひかりに対してせめてもの抵抗をしようとした春華は、その相手のひかりに助けられたことがショックだった。ただ黙ってその話を聞いていた比呂がおもむろに口を開く。「全部お前だよ」「古賀春華がいるから頑張れるんだよ」。
翌日、夏の甲子園大会が開幕した。2回戦を順当に勝ち抜く千川ナイン。そして雨で一日延びた次の日はひかりの誕生日。明和一高の試合の日だ。そして見事に英雄のホームランで勝利を飾った明和一高。英雄はそのホームランボールをひかりにプレゼントするのだった。
翌日の試合も千川は勝ち、ベスト8に駒を進める。そしてその翌々日、準々決勝第一試合で明和一高の準決勝進出が決定。第二試合では千川が勝利を納め、遂に千川対明和一、比呂対英雄の対決が実現することになった。
比呂との対決が決まった英雄はひかりを宿舎の屋上に呼び出す。そして、比呂との対決後、英雄か比呂か改めて選んで欲しいとひかりに告げたのだった。
試合の前日夜。比呂はたこ焼きを買いに出かける。その頃、ひかりもちょうど外出していた。野田はいつまでも帰ってこない比呂を心配し、英雄の元を訪ねる。どうやら比呂は、ひかりの居場所を聞きに英雄の元を訪ねたらしいが、すでにそこにはいなかった。そしてそこで野田は、英雄がひかりに言った言葉を聞かされた。
比呂の足は、去年の夏の大会に負けた後、ひかりに想いを伝えたあの公園へと向かっていた。そして…ひかりはそこにいた…。
比呂はひかりに、口先だけでいいから一言頑張れと言って欲しいと頼む。英雄との対決に今ひとつ燃え上がらない自分を奮い立たせるために。「頑張れ。負けるな」。目に涙をためながら、ひかりはそう言い続けた。
比呂が宿舎に戻ると、野田が待っていた。そこで野田は口を滑らせ、英雄がひかりに言ったことを比呂に言ってしまう。そして、春華もまたその頃、明日の試合に千川が勝ったら比呂とひかりが付き合ってしまうかもしれないと聞かされていた…。
四者四様の想いを抱えながら千川と明和一の試合が、そして比呂と英雄の対決の時がやってきた…。



11話『かわらない想い…運命の対決』

夏の甲子園大会、注目の準決勝第二試合が始まった。比呂(山田孝之)のいる千川高校と英雄(田中幸太朗)の明和一高、南北東京代表の対戦に世間の注目が集まる。炎天下のマウンド上には、汗を拭う比呂。そしてその視線の先には、ゆっくりと打席へ向かう英雄の姿が。遂に、二人のヒーローの対決の時がやって来たのだ。
春華(石原さとみ)とひかり(市川由衣)は、それぞれの思いを胸に、その対決を見守る。キャッチャーの野田(中尾明慶)は、比呂に「わざと英雄に打たせるようなまねしたら許さねえ」と釘をさす。それに対して比呂は「わかってねえな、俺はひかりのことが大好きなんだ」と言い放つ。実は、この試合の前に英雄はひかりに「試合が終わったら俺か比呂か選んでくれ」と言っていたのだ。そしてその事を比呂や春華、野田も知っていたのだった。
比呂は、英雄に対して渾身の第一球を放つ。ど真ん中のストレートを見送る英雄。第二球目、比呂の球は外角へ外れるが、伸ばした野田のミットに納まる。英雄が今までに見たことのない球種だ。三球目は外角いっぱいのストレート、続く四球目はバットにミートしようとした瞬間、逃げるようにスライドしてバットを避けた。比呂は、英雄との対決のために、去年の秋から密かに高速スライダーを用意していたのだ。
その後も、比呂はいつもとは別人のように、勝ちにこだわったピッチングで英雄の第二、第三打席に投げ勝っていった。そして迎えた9回裏、二点のリードを追う明和一高の攻撃は2番から。英雄にまで打順がまわる。守備につこうとする千川ナイン、その時春華が比呂に言った。「頑張れ。負けるな」。比呂の脳裏を一瞬よぎるひかりの顔…。「あぁ」と短く返事を返し、比呂は最後のマウンドへと向かう。
スタンドでは2人の対決をひかりと父・太一(杉本哲太)が見守っていた。比呂が英雄との最後の対決に敬遠をするのではと心配する太一に、ひかりは最後ではなく最初の対決だと話す。勝負は1打席、そこで今までで一番速い球を投げるために、力を温存していたのだと。少なくとも英雄はそう信じていると…。
そして、いよいよ最初で最後の真剣勝負が。初球、比呂の投げた球は高めに外れてボール。急速はなんと156km/h。今日一番の速球だ。2球目、3球目と続けて外れて、カウントはボールスリー。あまりに力が入りすぎている比呂を見た英雄は、自分がひかりに言ったことを比呂が既に知っていることに気付く。
4球目はファール。だが、タイミングはドンピシャだ。5球目。比呂の投げた球は快音とともにレフトスタンドへ…。しかし、神様の悪戯か、打球はギリギリファールになった。そして最後の1球。比呂は決め球・高速スライダーの握りだったが、愚直なまでにストレートしかないと決め付けた英雄の目を見て、ストレートの握りへと変える。
運命の1球は投げられた。ど真ん中のストレート。英雄のバットは…空を切った。
その夜。明和宿舎の屋上に、一人立ち尽くす英雄がいた。そこにひかりが現れる。最後の1球の時、英雄の頭には一瞬高速スライダーがよぎっていた。英雄は比呂を信じきれなかった自分が許せないと言い残しその場を立ち去る。
一方、千川宿舎の屋上では、比呂が紙ヒコーキを折って飛ばしていた。後ろから春華がそっと近づく。「そのヒコーキどこまでいくの?」「ちょっと大リーグまで…。」
夏の大会も終わり、比呂たちは部活を引退し春華たちも受験モードに。そんな中で、比呂と春華はお互いに話す機会がなくなっていった。
2学期の終わり、比呂と英雄は指名を受けプロ入りが決まる。そして、翌年2月、春華の大学合格が決まった。
高校生活も残り僅かとなったある日、教室にいた比呂と野田は木根(石垣佑磨)からひかりがアメリカに留学することを聞かされる。全く寝耳に水の2人。その夜、比呂がひかりの家を訪れると、太一が出迎えてくれた。自分のせいでひかりが留学するのではと言う比呂に、太一は一年前から聞かされていた話だと打ち明ける。
翌日。比呂はひかりの母・さくら(七瀬なつみ)のお墓参りに。そこに偶然ひかりが現れる。比呂はひかりの口から、留学に行く本当の理由を聞かされる。強く見えるひかりだが、心の底ではいつも比呂や英雄に頼っていた。それではいけない、独り立ちしなくては…。それが本当の理由だった。
千川野球部のグラウンド。学生服でピッチングをする比呂と、その球を受ける野田がいた。何かをふっきるかのように全力投球をする比呂。そこに春華が通りかかる。すると、何を思ったのか春華は、バッターボックスで比呂の全力投球の球を見てみたいと打席に立つのだった。前から1度見てみたかったと春華。そして比呂にもこう言うのだった。「国見くんは思い残したことない?」ひかりとのことを指しての言葉だった。
翌日、青南中のグラウンド。比呂は英雄を呼び出し勝負を持ち掛ける。自分の初恋に決着をつけるためだ。そしてそれは比呂だけでなく、英雄の気持ちにも決着をつけさせるための勝負でもあった。勝負は直球3球。初球、2球目ともに英雄は見送る。そして、本当の運命の1球。比呂の投げた球を捕らえた英雄の木製バットは折れた…。負けを認めて去る英雄。しかし英雄はその足でひかりの元に向かった。
公園で出会う2人。「誰よりも雨宮ひかりが必要なのは…この俺だ」と改めて自分の気持ちを告白する英雄。そして「頑張らなくちゃ。4年後の英ちゃんに認めてもらえる女になって帰ってこなきゃいけないから」とひかり。2人の気持ちが通じ合った瞬間だった。
一方、比呂は野球愛好会が使っていた裏庭に。そこに春華がやって来る。英雄との勝負の前日、野田から、全てが終わったら比呂はここに来ると連絡があったのだ。「例え付き合っている相手がひかりでなくても、私が国見くんを好きな気持ちは変わらない」と告白する春華に、比呂はちょっと照れくさそうに言った。「同じ…俺も古賀のこと…好きだよ」。そしてそっと春華の手を握るのだった。
卒業式。記念撮影をしようと集まった比呂たち卒業生と野球部員たち。その様子を見つけた春華が駆け寄りながら呼んだ。
「比呂!」
─完─

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